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2010.11.25(木)

少年に死刑判決

裁判員裁判で初めて

元交際相手の姉や友人ら3人を殺傷したとして、殺人罪などに問われた宮城県石巻市の元解体工の少年(19)の判決公判が25日、仙台地裁で開かれ、鈴木信行裁判長は求刑通り死刑を言い渡した。少年が被告の裁判員裁判で、死刑が言い渡されるのは初めて(産経新聞)。

少年が事件を起こしたとき、少年法は少年を手厚く保護して、通常の刑罰ではなく「保護処分」というものを科す。少年院送致は、少年を刑務所に入れることではなく、少年院という閉鎖的な寄宿舎に収容して教育を施すという理念のもとに運営されている。従って刑務所とは本質的に違う施設と考えられている。

少年法の理念は、少年の人格の可塑性すなわち少年は教育次第で変わり得る可能性を持っているという理念で形作られている。尤も例外があって、犯情悪質とみられる場合は保護処分ではなくて刑罰が科されるよう、少年審判ではなく刑事裁判に回されることがある(「逆送」という)。それでも、上記の少年の可塑性はなお考慮され、有期刑を科すときでも何年から何年という幅を持った言い渡しがされる。

本件の場合、刑事裁判に回され、しかも死刑判決であるから、この少年に可塑性すなわち更生の可能性はないと判断されたことになる。判決内容がわからないので軽々なことは言えないが、正直なところ私には違和感がある。どんなに悪逆非道の犯罪を犯したとしても、未成年の段階で死刑と断じて良いものか。

これが裁判員裁判であることと関連があるのかどうかもわからないので、裁判員裁判の制度のせいだとは今の段階では即断できないし、今後も評議の秘密が守られる以上、永遠にわからないが、正直、何か危なっかしいものを感じる。

ここのところ裁判員裁判で死刑判決になったりならなかったりしており注目しているが、本件が少年事件であったことから気になっていたものである。多分控訴されるだろうから、プロの裁判官だけで構成される高等裁判所の判断にも注目したい。