郵便不正事件の証拠品だったフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたとして、証拠隠滅罪に問われた大阪地検特捜部の元主任検事、前田恒彦被告(43)に対し、大阪地裁は12日、懲役1年6月(求刑・懲役2年)の実刑判決を言い渡した(毎日新聞)。
証拠隠滅とは、他人の刑事事件の証拠を隠滅したりする犯罪で、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金にあたる。今回の判決は実刑判決で、それも求刑2年に近い懲役だから、極めて厳しいものだと言える。証拠に依拠して被告人を有罪にするという検事の職責を真っ向から否定し検察官全体に対する国民の信頼を大きく裏切ったという点で、厳しい判決になったのだろう。
検事は、特に事情もなく自発的に辞めれば、望む弁護士会に弁護士登録ができる。しかし、本件の前田検事は登録できないだろう。確か罰金以上の刑を受けた者は登録できなかった筈だし(ウロ覚えだが)、法律家としての最後の良心を捨て去った彼を受け入れる弁護士会はないだろう。大阪地検特捜部というエリート検事から一転獄舎につながれ、出所しても法律家としての再起の道はないという彼の境遇は大変厳しいものがある。気の毒な気がしないでもないが、彼を指導したとされる上司の検事二人が全面的に否認しているのをみると、そちらからも目が離せない。
いずれにしても、検察庁の威信を根底から覆した彼の責任は重いというべきだろう。