福岡高裁は、1日、殺人未遂事件の捜査で、検察官が被疑者から弁護人との接見内容を聴取したことは重大な過失があるとして、国家賠償請求を認めた(朝日1日朝刊)。
被疑者・被告人と弁護士との間には、接見交通権として、警察官の立会なく面会したり書類や物品の授受が認められている。被疑者・被告人の防御権として法律上保護されているものである。今回、この弁護士との接見内容を検察官が被疑者から聴取し、その内容を調書化して公判に提出したことが検察官の重大な過失とされた。当然と言えよう。
身柄拘束など強制捜査権を有する警察・検察に対して、被疑者・被告人と弁護士が秘密に面会できることは被疑者・被告人にとって最低限の防御権である。これが検察官の自由意思で後で聞きだされるのではたまったものではない。弁護活動を委縮させて十分な弁護活動が出来なくなるし、被疑者・被告人との間の信頼関係も維持出来なくなるだろう。
検察官は今後ともこの様な捜査は慎むべきである。