今回は書評ではない。広告である。私の属する福岡中国人強制連行強制労働弁護団が構成団体の一つである中国人戦争被害賠償請求事件弁護団の出した本だからである。是非、皆さんに買って頂きたい。
中国人戦争被害賠償として、どの様な裁判が闘われているのか、この裁判を担う原告の中国人とはどの様な人たちか、それを支える弁護士たちはどんな人たちか、それぞれの裁判の到達点はどこか、この様な裁判では法的にはどの様な点が争点となっているのか、これらの裁判は日中関係においてどの様な意義があるのか等など、この本を読めば全てわかる。
例えば、七三一・南京虐殺・無差別爆撃訴訟、中国人「慰安婦」訴訟、南海島戦時性暴力被害事件訴訟、平頂山事件訴訟、旧日本軍遺棄毒ガス・砲弾被害事件訴訟、中国人強制連行強制労働事件(北海道・山形・東京・京都・新潟・福岡・宮崎)が、具体的な訴訟の名前である。名前で大体訴訟の内容は予測できよう。
ただ「平頂山」事件というのは聞いたことがない人が多いだろう。これは、中国東北部、燎寧省撫順市郊外の平頂山で、1932年9月16日に行われた無辜の中国人一般市民3000名に対する日本軍の大量虐殺である。日本では殆ど知られていないが、現地では「平頂山殉難同胞遺骨館」という遺骨そのままが展示される慰霊の建物が建てられている程、日本軍の蛮行として知られているそうである。南京大虐殺に匹敵する事件である。
法的な争点(条約上の個人請求権・国家無答責・時効・除斥・請求権放棄論)の解説は、一般の方には決して読み易いとは言わないが、ここは読み飛ばしても、その他の部分は事実を提示したり報告したり且つ解説したりしている一般の文章なので、そこから新たな知識やものの見方・考え方を得ることが出来る。
そして、何よりも靖国参拝が論議される現代において、これらの裁判が闘われる意義が十分理解できる。
是非ぜひ買って下さい。