お盆休みを利用して全4巻を読破した。「蒼穹の昴」の続編にあたるが、その倍くらいの長さがある。続編とは言いつつも、ストーリーはそれ程密接に前編と関連している訳ではないので、独立した長編として読めなくはないが、やはり前篇を読んでおいた方が面白いだろう。
登場人物はある程度重なるが、今回の主人公は、張作霖ということになるのだろうが、必ずしも登場場面は多くはない。ただ、登場する場面ではやたらカッコいい。腕と度量で生きる満州馬賊の首領である。
この満州馬賊の首領の支配する東北3省と、北京を首都とし末期にある清朝(支配者の西大后も人生の末期にある)と、若干比重は低いが最後に南京に国民党政府を樹立する3者が基本的に軸となる。その中で、時折、清朝樹立のために満州族が万里の長城を越えて中原に侵攻するまでの清朝初期のエピソードも語られる。
壮大な歴史ロマン・・・と言えるのだろうが、正直、私自身は前編の「蒼穹の昴」の方が面白かった。その続編ということで相当期待しすぎていた面があったのだろうが、前編の方は清朝時代の有名な官吏登用試験の科挙や男性で無くなった官僚の宦官などについての新知識の面もあったし、何よりも登場人物が激しく動き激突すると言う場面が多々あり興奮のあまりどんどんページが進むという感じだった。しかし、続編のこれは、登場人物たちの動きが余り激突という形ではないし、生意気なことを言わせていただけば、満州民族の歴史を元祖指導者達の確執で語らせる辺りと清朝末期の時代とを重ね合わせると考えた構成が、少し冗漫に過ぎたのではないかというのが私の感想である。
にもかかわらず、「よっ!浅田屋!」と思わず声をかけたくなる場面も随所にみられ、浅田ファンの期待を裏切るものでは、全く無い。少々長いが、お薦め。