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福岡市弁護士甲能ホーム判例解説インデックス明石歩道橋事故、元副署長強制捜査へ

判例解説インデックス

2010.02.02(火)

明石歩道橋事故、元副署長強制捜査へ

改正法で初

兵庫県明石市で2001年7月に11人が死亡、247人が負傷した歩道橋事故で、神戸第二検察審査会は、1月27日、業務上過失致死容疑で書類送検され、神戸地検が不起訴処分とした明石署の元副署長を起訴すべきだと議決したと公表した。改正検察審査会法の下での2度目の議決となり、裁判所が指定した弁護士が強制捜査して起訴することになる(朝日1月28日朝刊)。

犯罪が実行されたと判断して、裁判所に刑事裁判を行なうよう起訴する権限は原則として検察官が独占している。これは起訴独占主義とされ、一般人が刑事告訴するのは裁判所ではなく警察・検察庁に捜査のうえ検察官が起訴するよう促す行為に過ぎない。

告訴などにより捜査した結果、検察官が嫌疑不十分その他の理由で起訴しないこともある。それが妥当か否かを決するのが検察審査会である。その会に審査を求めることを付審判請求というが、これは一般人でも出来る。しかし、従来の検察審査会法では、検察審査会が起訴相当という決議をしてもそれには拘束されず再捜査のうえやはり不起訴とすることが出来た。ところが昨年5月に改正検察審査会法が施工され、その中で11人中8人以上の起訴相当再議決があれば起訴がされることになった。但し、公判を担当するのは検察官ではなく、弁護士会の推薦を受けた弁護士を裁判官が検事役に任命して、公判を行なう。

これは、裁判員制度と機を一にするもので、司法への市民参加を強化するものということができる。検察審査会の委員は抽選で一般市民から選ばれるので、その意味でも裁判員制度と同趣旨である。法律専門家の馴れ合い的な仕事を許さず市民の目を光らせるという意味では望ましい制度であろう。今後が期待される。