京都地裁は、27日、顔などに重い傷が残った労働災害の補償で、男性を女性より軽い障害等級と認定する国の基準は法の下の平等に反し違憲であると判断した(朝日28日朝刊)。訴えていたのは、金属を溶かす作業中に顔や腹に大火傷を負い後遺症が残った男性。男性の後遺症が後遺障害等級11級とされたのは、同等の後遺症が女性であれば7級と重い等級に認定されることと比べて不合理な差別であると主張していたもの。
火傷などの外見の障害は男性より女性の方が不利益を被るとする差別には合理性がないとしたもので、「女性の価値は外見で決まる」という「常識」を不合理な偏見と断じたものである。
労働災害により後遺障害が残った場合は、それを1級から14級まで等級付けして(1級が一番重く14級が一番軽い)、等級に応じて補償に差等を設けるのが労災のやり方である。更に交通事故の後遺症でも労災の基準を準用しているので、本件の判断は実務に及ぼす影響は大きい。火傷などの傷跡が残った場合は、その傷跡の大きさや傷跡が残った部位により等級に差等があるが、一般には女性の方が重く認定される等級体系になっている。その男女差が不合理とされた訳である。
現代の常識からすれば、妥当な判決と言えよう。寧ろ、今まで放置されていたことが不思議である。外見に残る傷跡の精神的苦痛や労働活動における障害は、今や男女で差はないと考えられるからである。本件の判決で直ちに等級基準が改正されるかは明らかではないが、早急な対策が望まれる。