12月28日、大阪地裁は、8月の衆院選で、有権者が多い選挙区と少ない選挙区の間で1票の価値に最大2倍強の格差が生じたのは、法の下の平等を定めた憲法に違反する(但し選挙は違憲無効としない)と判断した。
国政でも地方でも選挙は一人1票だが、有権者数の差に応じて、1票の価値に差が生じる。人口の少ない選挙区では5万票で当選する議員もいれば、人口の多い選挙区では10万票得票しても議員に当選できないという事態になれば、それぞれの有権者の1票の価値に大きな差が生じていることになる。だから、そうならないよう人口の多寡を見据えながら選挙区割りをしなければならないのだが、人口は絶えず流動しているので中々国会の選挙法改正が追いつかない。その結果、人口最小の選挙区の人は、人口最大の選挙区の人の2倍以上3倍以上の投票価値を持つ例が出てくる。これが、格差が1:1.3とか1:1.6なら未だ許せるが、1:2.5となると、人によって複票制(一人が2票以上の投票権を持つ)を認めたのと同じ結果になる。
これが、憲法の大原則の一つである平等原則に反する結果となるのは誰にも明らかであろう。
しかし、厳密に人口比だけで行くと、人口の多い都市部に議員が集中し過疎地の議員の数が減って、発言力に差が出るという面もないではないので、「地域代表」的側面が強調され少人口地域の発言権を守るために、ある程度の格差は止むを得ないとも主張されている。この論者でも1:3が限度だろうとは言うが。
今回の裁判所は、平等原則の方を重くみた訳だ。議員は「全国民の代表」なのだから、それを選ぶ国民の間に差別があってはならない。だから、1:2未満に押さえるのが本筋だと思う。厳密に1:1は不可能だし、人口密集地と過疎地の差はこの1:2の枠内で考慮すべきものだと考える。