2008年12月10日が第1刷の本なので、かなりアップツーデイトである。
数年前から「サブプライムローン問題」というのが、現在の不況の元凶のようにマスコミで常用されてきたが、正直なんのことかわからなかった。しかし、本書を読んで目から鱗である。ふーん、そういうことだったのか。低所得者向け住宅ローンが危険なのはわかりきった話で、それが何故、周りを巻き込む不況の原因になるのか理解しがたかったが、本書の説明で概要理解できた気がする。
「ハゲタカファンド」という呼び名も良くマスコミで使われるが、本書では、その呼称はつかわれないまま金融資本の国境を越えた行動・活動をわかりやすく解説する。やはり評価としては、金になりそうなところであれば世界中どこへても飛んで行き根こそぎにするという意味では「ハゲタカファンド」は強ち的外れのニックネームではない気がする。
ただ、この様にマクロの経済説明をわかりやすくしてくれるのはあり難いのだが、それを前提に大した資産を持たない一般市民が自分の財産を具体的にどう保全したら良いのかという点では本書の言及はない。それは別の本で自分で勉強してくれということなのだろう。
薄い割りに内容の濃い本である。