つい観てしまうんだなぁ、この手の映画を。いわゆるB級アクション映画。
原作は文庫本が手元にあるので、相当昔に読んだ筈なのだが、内容は全く覚えていない。
天才的な狙撃の腕を持ちながら、同僚を死なせた自責の念から米軍を退役してしまった主人公。それが請われて米国政府の仕事に復帰する。そこで待ち受けていたのは主人公を巻き込む陰謀の渦。まぁ良くある設定ではある。またスタローンの「ランボー」を思わせるシーンもあり、どこかで観た場面だなと思うところも多く、B級アクション映画自体どうしても同じような構成や場面になってしまうのだろうが。
いずれにしても派手な銃撃戦や強烈な爆発などのアクションシーン満載で、こういう映画を喜ぶのは要するに私の幼児性を示すものでしかない。この手のアクション映画は、暴力性を助長するとか批判は色々あろうけれども、つい観てしまう。で、製作する側も後ろめたさがあるのかアメリカのイラク戦争批判と受け取れるセリフも後半出てくる。しかし、最終的には暴力的な解決をつける結末なので、余り映画としての説得力はないことになる。
大分以前に観た「ソードフィッシュ」というアクション映画があった。同時多発テロ以前に公開が予定されていたが、内容が同時多発テロと重なる部分があって公開が控えられていたという映画だった(確かに飛行機がビルに突っ込む場面が出てくる)。そこでは「American Way of Life」を世界に広げることを目的とする悪役が出て来たと記憶する。今回のこの映画もその点で、それを錦の御旗として行動する者が出てくる(尤も今回の悪役の目的は金だが)。
敵が世界制服を狙う秘密結社などという荒唐無稽でただの勧善懲悪映画なら良いのだが、気をつけないとある種の米国賛美のイデオロギーに染まってしまう。尤もそう感じる位なら最初から観なければ良いのだが、B級アクション映画はつい観てしまう。劇映画に関して、私は恋愛映画は全く、また社会派映画もそれほど観ることはない。基本的に社会的な問題は活字で考えるべきだという意識が潜在的にあり、劇映画は娯楽だという偏見に毒されており(ドキュメンタリーは別)、だから派手なアクションシーンをストレス解消の道具として考えてしまうのだ。あまり褒められた嗜好ではないことは自認せざるを得ない。