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メディア評インデックス

2007.07.17(火)

時そばの客は理系だった 落語で学ぶ数学

柳谷晃

理系コンプレックスと落語好きの私にすれば、当然心惹かれる書名だったので、買ってみた。

まず落語の段落がありそれを数学的に解説するという枠組みなのだが、書名のように数学だけではない。章立てで行くと、「第1章 落語に潜む数学の原理」「第2章 落語で論理と確率を」「第3章 落語で社会と経済を学ぶ」「第4章 落語の中の科学」「第5章 落語が教える勉強法」となっている。数学というよりは論理の話に近い感じがする。笑いは確かに論理のズレなので、組み合わせとしては悪くはないが、好きな英語の歌を歌詞を覚えて英語力をつけるのと同じように、落語を聞いたり覚えたからといって論理的思考が身につく訳ではないのだ。というより、そういう気持ちで落語を聞く人間はいまい。

表題の「時そば」は古典落語の古典中の古典だが、その他に「寿限無」だの「千早振る」だのの古典を散りばめ、本書で始めて知る落語もある。落語好きには大変楽しい。私は小三治師匠が大変好きなので、何となく文字面を小三治師匠の語り口で読んでいた。

ただ数学好きにも楽しいかというと何か今一つという気がしないでもない。私は数学は好きだったが、精々高校までの数学で大学で教えられるような数学は理解不能だから、こういう感想は僭越の限りであるが、ま、素人なので許して頂こう。

いずれにしても、落語と数学を結びつける着眼がウリである。中々楽しい本。


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