実際の裁判でも刑事が証人に立つことは珍しくはない(そう多くはないが)。ただ、その場合、被告人の有罪を立証するためである。本書のストーリーのように、刑事が被告人の無罪を立証するために証人に立つことは実際には滅多にないのではないか。
本書はそれがメインとなるが、ミステリーなので、ストーリーは明かせない。
ただ、翻訳調の文体は、ひとによっては抵抗があるかも知れない、私は快かったが。
本作自体は1963年刊行だから、かなり古くしかしストーリー展開は時代を感じさせない。いやある種の古い外国映画を観ている気になる部分もあった。その意味では、いまや回顧調の古典ミステリーと呼ばれるべきなのかも知れない。
結末は楽しい。薄い本なのですぐ読める。その意味でもありがたい。