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2008.12.28(日)

養老孟司の人間科学講義

養老孟司

正直なところ私には難解だった。何回か途中で投げ出そうとした。情報論は出てくるは都市論は出てくるは、何となく生物学的講義を期待していた私には全体像が未だに掴めずにいる。センテンス自体はそう長くはなく短いセンテンスの積み重ねで文章を構成するのが著者の書き方で、それが好きで「バカの壁」がベストセラーになる前から著者の本は何冊か読んできた。今回はそれらの本の集大成かと思って手を出してみたのだが、私には少々歯ごたえがあり過ぎた。消化しきれないでいる。

人間とは、「神経系=脳=意識」と「遺伝子系=細胞=無意識」の2つの情報系で構成されるという訳らしいのだが、学問である限り、それぞれの用語が厳密に考察される。その中に都市論などが紛れ込むので、私の頭では整理がつかない。多分、もう2、3回読めばどことなく理解できるかもしれないが、残念ながら今そこまでの根気はない。同じ学術書を2回以上繰り返し読んだのは、司法試験受験のための法律学の本以外にはないので、何かの試験合格とか論文執筆の材料にする予定とか、そういう実践的な欲求がないと読めない人が多いのではないかと思う。一般教養として読むつもりだったが、斜め読みが出来るほど本書は簡単ではないし(確か「バカの壁」は斜め読みしたし出来たという記憶である)、一字一句おろそかにしないよう根を詰めて読むほどこの分野への私のモチベーションは高くない。

おわかりと思うが、私は本書を貶している訳では決してなくてお読みになるなら覚悟が要りますよという助言をしているつもりである。


養老孟司<br />ちくま学芸文庫
ちくま学芸文庫
840円+税