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福岡市弁護士甲能ホーム判例解説インデックス最高裁大法廷、参議院「違憲状態」と判断

判例解説インデックス

2012.10.19(金)

最高裁大法廷、参議院「違憲状態」と判断

一票の格差5倍不平等

「一票の格差」が最大5倍となった2010年7月の参院選をめぐり、弁護士らが「選挙区ごとの投票価値が不平等なのは違憲だ」と、各地の選挙管理委員会を相手に選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決で、最高裁は17日、「違憲状態」とする判断を示した。選挙無効の請求自体は退けた(18日朝日朝刊)。

最高裁は、09年の衆院選が2.30倍となって行われたことも違憲状態と昨年3月判断しており、これで衆参両院とも「違憲状態」の国会という異例の事態となった。この「違憲状態」を放置している国会の怠慢は、厳しく責められるべきであろう。

大体3倍未満なら合憲だとかいう憲法感覚がおかしい。格差は2倍未満に抑えられるべきだ。ある地方の有権者は一票しか持たないのに他の地方の有権者は二票以上持つというのは、どう考えても不平等だ。その意味で、投票価値の平等を追求するなら比例代表制を全面的に採用するのが最も合理的だろう。現行の小選挙区制と比例代表制の並立制は、どう弄っても無理が生じる。

いわゆる党利党略で選挙制をまともにできないのだろうから、今の国会には期待できない。というより、多分「今の」国会ではなく国会には「永遠に」期待できないのではないか。そうなると、最後に期待するのは司法ということになるが、司法が、いつ、どこまで踏み込むか、見守るしかない。