平成19年4月3日、最高裁第3小法廷は、英会話学校NOVAの中途解約精算規定が特定商取引法に違反して無効だと判断した(朝日新聞、夕刊)。
判決文本文を入手したので、これに従い若干の解説をする。
事案は、元受講生が英会話学校との受講契約を解除したことに伴い、英会話学校との受講契約の締結時にあらかじめ支払った受講料の精算を求めたものである。
この契約では、受講契約時に料金規定に従った受講料を支払い、ポイントを登録して受講契約を締結しなければならず、受講者は、登録したポイントを使用して1ポイントにつき1回の授業を受けることができる。
その料金規定は、600ポイント登録ではポイント単価1200円、500ポイント登録ではポイント単価1350円、・・・、50ポイント登録ではポイント単価3000円、25ポイント登録ではポイント単価3800円という形で、ポイント数が少なくなるに連れて、ポイント単価が上る内容になっている。
そして、中途解約する場合は、基本的に、使用済みポイント数にポイント単価を乗じた金額と中途解約手数料等を控除した残額を返還する仕組になっている。
問題は、このときの使用済みポイントのポイント単価の決め方である。NOVA側は、契約時のポイント数で定まったポイント単価ではなく、契約時の料金規定上、使用済みポイント数が一番近い登録ポイント数のポイント単価で計算するという精算規定になっているのである。例えば、600ポイント登録で契約したが40ポイント使用しただけで解約した場合、使用済みとして差し引かれるポイントのポイント単価は、契約時の1200円ではなくて、40ポイントに一番近い50ポイントのポイント単価3000円ということになる訳である。
つまり、中途解約である以上、当然、契約時のポイント数より少ないポイントしか使用していない訳だから、ポイント数が少ないほどポイント単価が上る料金規定になっていれば、差し引かれるポイント単価は契約時より必然的に高いことになる。この点が問題とされたわけである。
最高裁は、本件が、いわゆる特定商取引法での「特定継続的役務提供契約」に該当し、契約時のポイント単価で精算するのが自然で、この様なNOVAの精算規定は、中途解約権を制限するもので、その精算について消費者を保護した規定に違反し無効と断じた訳である。
妥当な解釈と言えよう。