ダーウィンは言わずと知れた進化論の提唱者である。むしろ副題の方に惹かれて本書を買った。
基本はダーウィン以前から説き起こした進化論学説の発展だが、私はダーウィンが進化論の世界では通説だと素人考えで信じていたので、それが現在ではそうではないと知って大いに驚いた。「自然淘汰が進化を促した」のではなく「中立進化論」といって、突然変異と遺伝的浮動という偶然の要素が進化の原因だというのである。
ただ、正直なところ著者の叙述は難解である。これでも随分素人向けに噛み砕いたのだろうから私の頭が悪いのだろうが、術語が繰り返し出てくる割には術語の説明が最初の一度きりで後は当然のように再説明なしなので、あれ?これはどういう意味だったかなと前に戻らなければならないし、それをしないで読み進めて行くと専門的な部分はわからない。
結局、「中立進化論」というもののイメージが今ひとつ掴めないままだった。
私は、進化論には大いに興味がある。特に動物の擬態というものが不思議でたまらない。例えば枯葉そっくりの羽を持つ蛾が枯葉に紛れて見えなくなる等の例で、なぜ枯葉そっくりの羽をその種の蛾が持つようになったのか、それがダーウィンの突然変異と自然淘汰だけで説明できるのか全く納得が行かない。しかも、最近の通説である中立進化論ではそれは偶然でしかないことになりそうである。どうして羽が枯葉そっくりになるのかは偶然ではなく何らかの作為を私は感じているのだが、その作為の主は「神」か「宇宙の法則」などという途方もない話になってしまうので、これ以上の思索はできないが、納得の行く科学的説明が欲しいものだと考えているのである。
またいつか進化論の本を読んでみよう。