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2015.01.24(土)

資本主義の終焉と歴史の危機

水野和夫

久しぶりに硬い本を読んだ(と言っても新書だし若干古くなりかけているが)。

そのものもズバリの題名で、資本主義は終焉の時期に入っており、これまでの歴史は終わりを告げようとしていると説く。

資本主義は資本の自己増殖が本能であり、覇権国が「周辺」を収奪することで発展を遂げてきた。しかし、地球上に最早収奪対象となる土地は残されていず、IT革命で金融上の収奪に移り、それが出来なくなると国内で中間層を収奪し、それが出来なくなると時間的に将来の国民の富を収奪する、のだが、とうとう限界に来ており、もはや自己増殖のための利潤が無くなって来ているという訳である。

そして、中国バブルは必ず崩壊し、世界経済に深刻な影響を及ぼすと警告する(確かに素人の僕が見ても中国経済の成長はいずれ破綻するとしか思えない)。

本書は、資本主義の終焉がハードランディングとなるかソフトランディングとなるかは読めないし、資本主義に代わる経済制度を提示できている訳ではない。その意味で、警告だけに終わっており、危機の処方箋が判らないもどかしさはある。ただ、近いうちに資本主義は終わりを告げるだろうという論理には説得力がある。

同じ経済学の本としては、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」という大著が世界中で売れているそうであるが、今の僕には読む気力がない。ただ、2015年1月現在、Eテレ(NHK教育テレビ)で、ピケティの講義を毎週金曜日の夜やっていて大変おもしろい(後1〜2回かな)。この水野氏の新書もピケティ氏の講義も同じ問題意識であり、世界の不平等・格差は広がるばかりで暗然とする。我々の子孫は大丈夫だろうか。


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