原書房2010年版本格ミステリベスト1ということで、読み始めた。
ケチなジゴロが金持ちの美人令嬢を落とそうとするところから、本書は始まる。
正直テンポが遅い。イライラするとまでは行かないが、思わせぶりの秘密の提示が長く続き、事件が起こるのもかなり物語のかなり後半になってからである。事件が起きてからも中々謎に迫らないで、登場人物の心理描写に終始する。正直、途中で投げ出そうかと思ったくらいである。ま、ただ最後の謎ときで著者に騙されていた快感が十分に味わえるので良しとしようか。
上記のとおり、私などは心理描写がくどいという印象、伏線が長いという印象を持つが、そういうのが楽しいという読者もいるかも知れない。でなければ、ラストの鮮やかさだけで、これだけ高い評価は受けないだろ。
落ち着いてジックリ読むタイプの読者にはお薦めといえようか。