最高裁は、4月14日、電車の中で女子高生の体を触ったとして強制わいせつ罪に問われていた被告人に無罪を言い渡した。被告人は逮捕段階から一貫して否認し無罪を主張していた。
有罪の証拠が、被害者とされる女子高生の「供述」しかない立証状況だった。この女子高生の供述の信用性をめぐり、地裁・高裁は有罪とし、今回の裁判体でも無罪3:有罪2の僅差であり、それだけ微妙だったと言える。
電車内の痴漢は、特に満員電車では体を触れ合う形にならざるを得ず且つ肩から下は殆ど死角なので、有罪の証拠も無罪の証拠も弱いというのが現状だ。しかし、日本の裁判所は、他の犯罪を含めて有罪率99%以上なので、一端起訴されれば殆ど有罪となる。その中で認定の難しい犯罪で無罪判決が出たのは画期的と言える。
一昨年「それでも僕はやっていない」という痴漢冤罪を主題にした映画が話題になったが、ちょうど映画と逆の結果になってしまった。現状の刑事裁判を踏まえて批判的に描いたその映画は良くできていたが、監督はじめ製作者・関係者は溜飲をさげたのではなかろうか。