メディア評インデックス

何となくミステリーの短編集が読みたいなぁと思っていたところ、書店で本書を見つけて買い求めた。解説に寄れば著者は結構人気のある作家らしいが、私は初めてである。

読み終えての感想は、これは掘り出し物だったなというものである。全編おもしろい。本書の原題はTwisted（捻り）だそうで、確かに捻りの聞いたラストには全編うならされた。しかも、各短編がバラエティに富んでおり、捜査官ものあり、シェイクスピア時代の時代劇あり、法廷ものあり、サイコものありといった多彩な内容で楽しめる。

　あと楽しいのは、シェイクスピア時代の時代劇を除けば、現代アメリカの風俗がよくわかるということだろうか。離婚と不貞がよく出てくる。本書でアメリカ文化を知った気になると、アメリカ人はしょっちゅう浮気をしてしょっちゅう離婚をしていることになるが、これは一面的に過ぎよう。

　それから、何故か高級車にレクサスが出てくる。これはトヨタがアメリカで作った高級車のブランドの筈で、そんなことに注意して読むのもトリビアで面白いかも知れない。