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2010.03.07(日)

君はフィクション

中島らも

中島らも最後の短編集だそうである。正直クセのある短編が多い。ホンノリホンワカという短編はなく、どちらかと言えば奇談に近い。このクセの部分が気に入る人とそうでない人と別れるのではないだろうか。私自身は余り惹かれなかった。

ただ、アル中を病み一旦は克服しつつも最後は酔っ払って階段から落ちて亡くなったという著者のある種の凄みを感じる。病的というのは言い過ぎにしても、常識的生活者にはある種の衝撃を与えるだろう。

中島らも氏の娘さんという中島さなえさんの文章も載っている。らもファンには家族しか知り得ないらも像がわかる。この短編集の背景もある程度わかる。

万人向けという短編集ではないし、私自身は惹かれる短編は少なかったが、そのつもりで購入しても損はないだろう。

なお、今、画像がパソコンに取り込めない。従って本書の写真が添付できないので、御容赦ねがいたい。何とか改善の方法を模索中である。


集英社文庫
524円+税