変な批評の仕方だが、活字で描いたマンガ経済入門という趣き。要するにエンターテイメントなのだが、主人公の亜玖夢博士の造形自体がマンガチックで、アメリカ映画なんかに出てくるマッド・サイエンティスト。他の美男・美女の登場人物もアナクロなマンガに出てきそうである。
で、一話毎にそれぞれ「地獄をみた」登場人物が亜玖夢博士の「科学的な処方箋」により窮地を脱する(真の意味での救済なのかは別なのだが)。そして、この「科学的な処方箋」の説明が著名な経済理論・社会理論の解説になっているという構成。この解説が中々わかりやすい。亜玖夢博士と登場人物との会話が理論の解説で、亜玖夢博士の処方箋に従う事件の進んで行き方が実践編ということになる。
どちらかと言えばアミュージングという意味での面白さであるが、第1話の多重債務者が金を借りまくるシーンは面白くもあるが何か身につまされる。私が日ごろお相手している多重債務者の姿が彷彿としてくるからだ。多分こんなだろうな、という感じである。
ゲーム理論の入門書は何冊か読んだ記憶があるが、ここでも有名な「囚人のジレンマ」がわかりやすく解説してある。
文字通り「入門書」であろう。