マスコミで良く名前を聞く宗教団体がある。しかし、名前を知っているだけで実態は殆ど知らない。で、この本を買ってみた。
まぁ、良い意味でも悪い意味でも「新書」的である。手っ取り早く概要は分るが、当然学術書の様な深みはない。それでも名前しか知らなかった宗教団体について、些かでも知ることができたのだから、良しとしなければならないのだろう。
ただ確かに限界はあるにしても、扱う「新」宗教という素材自体が私の殆ど知らない世界だから中々興味深い。例えば、いわゆる「新」宗教が教祖様ごとに無関係に発生してきているのだという思い込みが何となく私にあったのだが、結構、離合集散というか従前の宗教からの独立とか色々関係があるのだ。また神懸り的だった教祖が、信者が増えて財政が潤うと人格が変わって行った例があるなど、結構世俗的だなぁと思ってしまう。
創価学会が筆頭だが、宗教団体と政治の関わりにも言及される。これも興味深い。ただ、宗教理念というか教義というか、それと政治理念の関連という部分に突っ込んだ分析がなされている訳ではない。また、戦前、戦後、高度経済成長期、不況の現代という社会情勢と新宗教の盛衰との関連も、そこここで言及されており、うーん、これは卓見かも知れないと思う箇所も幾つもあるのだが、それ以上に突っ込んでいない。やはり新書の限界か。こういう側面を突っ込んでいけばやはり宗教社会学というか、そういう学問にならざるを得ないのだろう。
新書の限界はあるが、新聞を読む際の「現代用語の基礎知識」的な役割は十二分に果たしている書である。