法科大学院出身者が受験する新司法試験の合格発表が、9月13日にあった。受験者数4,607人に対して合格者1,851人で、合格率40.2%だそうである。法科大学院出身者を対象としない旧司法試験も別途実施され、その合格者が300名程度と見込まれるそうで、結局、合格者は2,100名を越えるとのことである。
2010年までに合格者を3,000名にする予定だそうだから、年間500名前後の合格者だった我々の時代から隔世の感がある。
我々の時代は、司法研修所での修習期間が2年間で、この間、給与が支給された(今後は貸与とのこと)。また研修所の卒業試験での不合格者は皆無か、いたとしても一ケタ台の前半という状況だった。しかし、今は合格者を増やした分、卒業試験落第者が70名とか100名とかになっている。入り口で絞るか出口で絞るかという話ではあるのだが、司法研修所で勉強させた後で不合格にされると行き場に困るのではないか。それなら最初から入れずに早めに転進できるようにしてやった方が良い様な気がする。司法研修所の経費削減にもなるだろう。
また、首尾よく卒業試験に合格したにも拘わらず、今年は就職先のない卒業生が100名を越えるそうである。弁護士は、司法研修所の卒業試験合格証を手にして弁護士会に登録した時点で、資格としては十分である。弁護士登録仕立てであろうと建前上は一人前で、弁護士歴ン十年のベテランと対等で仕事が出来るのであるから、自分で事務所を開けば良いと言えば言える。しかし、今まで殆どの弁護士は最初に先輩やベテランの構える事務所に雇って貰って(居候弁護士―略してイソ弁)何年か修行して仕事を覚え、その後に独立するかイソ弁から昇格してパートナー弁護士になる。しかし、雇い主が見つからなければ、いきなり法曹界にたった一人で放り出されるのである。大変だと思う。そして、この傾向は来年以降も長く続くだろう。
また、新司法試験は受験回数に制限があって、5年以内に3回しか受験できず、それで三振すればアウトになって司法試験自体が受験できない。そうなると、「法科大学院は出たけれど」ということになるのである。また、新司法試験での研修所落第生が毎年ン十名出るかもしれないのであれば、巷には法曹資格はないけれど法律を本格的に勉強した人間が溢れることになる。もともと法曹資格者自体が就職にあぶれる状態なら、法曹資格未取得者自体は、もっとあぶれるだろう。多分、公務員か何かで拾われるには年齢制限に引っ掛かる人間の方が多いのではないか。こういう人たちの受け皿はあるのか。せっかく勉強した法律専門知識を生かせる職につけるのか。
去年も同じ様な日記を書いた気がする。私は後10年くらいは何とか弁護士で食っていければ良いと考えている程度だが、今後30年40年弁護士を職業として生きて行こうとする人達は、本当に大変だと思う。