憲法違反の安保法制法案等の衆議院強行採決に抗議する
会長声明
本日、安倍政権の与党である自由民主党と公明党は、衆議院において安保法
制法案等の採決を強行した。
この安保法制法案は、集団的自衛権の行使を可能とするものであり、日本が
直接攻撃されていないのに、自衛隊が海外において他国の軍隊と一緒に武力を
行使することを認めるものである。
当会や日本弁護士連合会を初めとする各地の弁護士会は、この安保法制法案
等やこれに先立って憲法第9条の解釈を変更した昨年7月1日の閣議決定に
ついて、憲法の恒久平和主義や立憲主義に反し違憲であるとの意見を繰り返し
表明してきた。国会審議においても、与党推薦を含む多数の憲法学者や元内閣
法制局長官が同様に憲法違反であると断言するなど、法案反対の見解は各界各
層に広がっている。
各種世論調査によっても、国民の大多数が国会における政府の法案説明は十
分でなく、理解が困難であるとしており、今国会での成立に反対するとの意見
が圧倒的多数を占めている。
この安保法制法案は、実質的に憲法を改正するに等しい内容であり、憲法の
恒久平和主義の理念の下、戦後70年続いてきた日本の国のあり方を根本から
変えるものである。このような重大な内容の法案について、国会で十分な審議
を尽くすことなく採決を強行するということは、民主主義の理念を根本から踏
みにじるものであり、そもそも憲法改正が必要であるという側面からも断固と
して容認できない。
当会は、安保法制法案等の強行採決に抗議するとともに、憲法違反の安保法
制法案の成立阻止を求めて、広く国民とともに一段と取り組みを強める決意で
ある。
2015年7月16日
福岡県弁護士会
会長 斉 藤 芳 朗
本日、衆議院本会議において、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案(以下併せて「本法案」という。)の採決が強行され、可決された。
当連合会は、本法案が、集団的自衛権行使の容認をはじめ、その多くの内容において、日本国憲法が定める立憲主義の基本理念、恒久平和主義及び国民主権の基本原理に違反していることを繰り返し指摘し、反対してきた。
本年6月4日の衆議院憲法審査会における与党推薦者を含む参考人3名の憲法学者の指摘が契機となり、これまでの国会審議を通じて、本法案の違憲性が一層明らかになりつつある。また、報道機関の世論調査においても、国会における政府の説明は不十分であり、今国会での成立に反対であるとの意見が多数を占めている。
本法案は、戦後70年間維持してきた平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えてしまう内容であり、これまでの審議時間を踏まえてもなお、更に十分な説明と徹底した議論が必要不可欠である。本日、衆議院において採決が強行されたことは、世論調査にも示されている民意を踏みにじるものであり、到底容認できない。
よって、当連合会は、本法案の採決の強行に対し強く抗議するとともに、本法案が成立することのないよう、今後も引き続き、国民と共に全力を挙げて取り組む所存である。