緒方元公安調査庁長官が6月28日、逮捕された。朝鮮総連本部の不動産を騙し取った容疑だという。
数日前から問題になっていた強制執行妨害罪の目はありかなと思っていたが、詐欺罪とは予想していなかった。何故なら、不動産の名義を替えても直ちに所有権を取得したことにはならず、名義はともかく代金を完済しないと本来は所有権は移転しない契約になっているものが多いので、「詐取」(=騙し取ること)の既遂に該当するか疑問だからである。
数十億円という代金の当てもないし支払われてもいないのに、名義だけ変えたからと言って詐欺の既遂に至るのか。いつまで経っても緒方元長官の方で代金を支払わなければ、それこそ詐欺だ何だと騒ぎ立てられるのは目に見えている筈で、検事長までして現在は弁護士を職業としている人間がそこまで気付かないでお粗末な犯罪をしでかすのだろうか。不思議である。代金は用意できないけれども、強制執行を止める意味で名義だけ移すという強制執行妨害目的なら十分あり得るだろうという気はするのだが、それがどの段階で詐欺になったのか、早く詳細を知りたいものだ。
ちなみに、検事長は、高等検察庁のトップであり現役は全国で8名しかいない(先日まで7名と書いていたが勘違い。某N氏ご指摘感謝)。検察庁の組織は、裁判所と対応する。すなわち最高裁に対応するのが最高検察庁、高等裁判所に相当するのが高等検察庁、地方裁判所に対応するのが地方検察庁、である。そして、それぞれのトップが最高裁は最高裁長官、最高検察庁のトップが検事総長、高等裁判所のトップが高裁長官、高等検察庁のトップが検事長、地方裁判所のトップが地裁所長、地方検察庁のトップが検事正となっている。検事総長は1人だが、検事長は全国8つの高等検察庁で8名いる。緒方元長官は、そのうちの1人でいわゆるトップエリートの1人だった訳である。
何か裏がありそうな気がするのだが。