ネットサーフィンをしていたら、「弁護士転職サイト」的なものを見つけた。弁護士が事務所を移ること自体は、それほど多くは無いにしても決して珍しくはないが(少なくとも福岡市では)、インターネットで公募する位にまでなっているとは思わなかった。尤も、そこで名前が出ている事務所は東京のみで、しかも多数の弁護士(もちろん弁護士数は一桁ではなく場合によっては三桁)を抱える大規模事務所である。
今後、日弁連の公約で弁護士が激増することになっており、そのため新規登録の弁護士の就職先がなくなって業界内では問題になっている。弁護士は資格商売だから、司法試験と司法研修所の卒業試験に受かれば自前で仕事ができるし場合によっては自分の事務所さえ最初から持てるのだが、まぁ世間一般の仕事に漏れず親方の下で一定程度修行して独立するというのが今までのパターンだった。ところが今は修行先の事務所が見つからないくらい新任弁護士が毎年出て来て溢れ出してくるのだ(粗製乱造と評する弁護士もいる。現に卒業試験落第者が100人前後いる状態になってきた)。
私なんかは、後10年弁護士で飯が食えれば十分、その後は引退したいと思っていたが、10年後に引退したと思われてかまわない程仕事をセーブしても老人ひとりの生活費くらい稼ぎ出せるだろうと踏んでいたのだが、どうも様子が違って来ている。況して、これから何十年も妻子を養いつつ弁護士をやろうと思っている新任弁護士には極めて厳しい現実が待っていることになる。
弁護士はギルド社会だと批判され、既得権益を守ろうと汲々としていると批判される。わからないでもないが、弁護士が「社会生活の医師」だというのなら、医師の質の低下(低収入の弁護士の仕事の奪い合いによる弁護士の質の低下と必然的な仕事ぶりの質の低下)は憂うべき国家事態というべきであろう。