この何にでも「みたいな」を付ける言い回しが使われ出して、どれくらい経つのだろう。例えば「このラーメン不味いぞ、みたいな」とか「人に知られるとヤバイみたいな」とか。そんなに古い話ではない様な気がするが、つい私でさえ使ってしまうことがあるので、もう定着するのに十分な時間は経った筈だ。
何でこんなことを言い出すかと言うと、先日、関東のヤミ金と電話で交渉していて、相手が凄んでみせる割にこの「みたいな」を時々混ぜるので、こちらが腰砕けになりそうになるのである。何となくこの言い回しは女言葉というイメージが私にはあるのだが、これは偏見なのだろうか。関東では当然の如く男も、もっと言えばヤクザ的なヤミ金も使って当然の言い回しなのか。
そのヤミ金は、私の依頼者の本家に電話をしたり何だりの嫌がらせをするので、私の方から電話をした。
「てことで、私が依頼者の債務整理を受任したので」
「それが、どぉしたんだよぉ。」
「だから、もう弁護士が介入して破産することになったから、嫌がらせをしても無駄ですよ」(ちなみに私は、相手がヤクザであろうとヤミ金であろうと出来るだけ敬語を使う。見も知らない人間にタメ口を利く気には中々ならないのだ)。
「弁護士が知ったことかよぉ。本人が払えねぇったって、親父さんが払うと電話して来たんだぜ。本人が払わないなら親父さんに払ってもらうよぉ。」
「んな訳ないでしょうが。親父さんが本人と一緒に私のところに破産の依頼に来たんだから。」
「親父さんが電話して来たんだよぉ。『私が払いますぅ』みたいな」
この「みたいな」で私はヘナヘナと力が抜ける。
「午前中に私のところに破産の依頼に来て、夕方に電話して『払います』なんて言う筈ないじゃん」(と流石に私も敬語が抜ける)。
「マジ電話して来たんだよぉ。『明日までには利息ちゃんと払います』ぅ、みたいな」(ヘナヘナ)
「違法金利のヤミ金に金なんか払う必要ないってちゃんと説明したんだから」
「お前、頭悪いんじゃねぇのか、親父さんが『払う』って電話して来たつってんだろ。だからオレも『わかった。じゃ明日の夕方まで待ってやるよ』ミタイナ」(ヘナヘナ)。
何かこの調子で、意気揚がらないこと甚だしい。
その後、何か兄貴分の様な男が電話をして来て、こちらは怒鳴り散らすけれども流石に「みたいな」は使わなかった。年齢の違いなのか、格の違いなのか。
も一つ力の抜ける言葉使いに、いわゆる半疑問形というのがある。「これが必要(?)って言われたから(?)持って来たんですけどぉ」なんていう奴で、これはやはり女言葉だろう。これも気持ち悪いが書けば長くなるので、いずれまた。